先日、インターネット広告の歴史を調べる中で、Googleの歴史も再度おさらいしたいと思いました。
そこで、私が新人の頃に読んだ『グーグル ネット覇者の真実』の中で付箋をつけた箇所を再読し、「あの頃読んでおいて良かった」と思いました。本書を読むことでGoogleの思想を理解でき、Google広告やSEO対策に関する知識のインプットがスムーズになったからです。
そんな本書に、私がハイライトをつけた箇所を所感とともにまとめました。
「私たちは、ユーザーのことだけを考えればいいんです。ユーザーが満足してくれれば、収益は後からついてくるものです」
・本当にその通りになっていて感動します。自分の仕事に引き付けて考えると、まずは難しいことを考えず、クライアントの満足を考えて行動あるのみですね。
「グーグルが成功すれば、どこの国の人々も情報を見つける能力を手に入れることになる」と彼は言う。「自分はそうした格差が明確に存在する国の出身だ。露骨なまでの格差だ。そうした状況に風穴を開けられるかもしれないというのは、すごく魅力的な課題だった」
・自分が過ごしてきた世界に課題を持っている人は、その行動力がとてつもないので非常に尊敬します。便利で快適な成熟した日本にいると、問題意識を持つこと難しくなっていくので、「もっとこうなればいいのにな」「なぜこうなっていないんだろう」といった考えを持ち続けられるようにしたいです。そのためには、色々な場所に行ったり、違う価値観に触れたりする経験の数が大切だと思います。
SEOサービスをビジネスにしている業者は、自分たちがかかわったサイトへのリンクが格下げされるのではないかとそわそわとした様子で待ち続けた。更新が実施され、ページランクのスコアに新しい評価基準が反映されると、SEOの専門家たちはすぐにアルゴリズム変更の裏にあるロジックを推測し、格下げされたリンクを元の位置に戻すための対抗策を講じようとした。こうして検索結果の順位が入れ替わる現象は「グーグルダンス」と呼ばれた。
・これからもグーグルダンスをしないようにしたい。もっといえば、生成AIダンス、LLMOダンスもしないようにしたいです。
私たちは献身的で、有能で、賢くて、思慮深くて勤勉な個人の集団であると同時に、多様な個性によって構成されるチームである。
・知的探究心をもった良い人を集めることが大事。
「僕はグーグルをこんなふうに思われる存在にしたいと考えている。『何かをググったのであれば、それ以上調べる必要はない。まだググっていないなら、何も調べていないのと同じことだ。以上』」とブリンは語っている。
・自分の経験を振り返ると、Googleで検索して思い通りの検索結果がでなかった時、多くの場合別の検索エンジンを利用するのではなく、検索語句を変えて検索します。このことから、根本的にGoogleに対する信頼があることを実感します。この信頼がなければ、検索語句を変えて再検索しようとはしないはずだからです。きっと、同じ行動をとるのは私だけではないはず。生成AIによって、この行動は揺らぎ初めていると思いますが、サーゲイ・ブリンの理想は、ほぼ実現したと言えるのではないでしょうか。
これはグーグルが「広告品質」の改善に取り組んだ最初の試みであり、同社の戦略の根幹を成す重要な要素となる。広告システムはグーグル、広告主、ユーザーで構成される「善意の三角形」だというのがグーグルの考えだった。見たくもない広告を表示されればユーザーは不満を抱くようになる。だから、ユーザーの探しているものと無関係だったり、不快感を与えるような広告を排除するためのプログラミングに優先的に取り組んできた。
関連性の高い広告をつくれば料金が下がるのだから、キーワード、テキスト、ランディングページ、それに広告キャンペーンそのものの品質を改善しようと努力するはず」。この方式に欠点があるとすれば、あまりに複雑な仕組みであるため、広告主を混乱させる可能性があることだった。
品質スコア方式は、広告は媒体と広告主の2者間のやりとりではなく、常にユーザーを含めた「善意の三角形」であるべきだというグーグルの主張を実現した。
・こちらのブログでも書きましたが、広告の品質をオークションの仕組みに入れたことで、広告の健全性が引き上がった話はいつも聞いても感動します。
人間の行動原理を理解した上で、プレイヤーの関係性を構造化して、WinWinなルールを作ることでシステム全体が自動で良くなっていく。
仕組みづくりの鑑だと思います。
グーグルは2007年に、検索結果を人為的に遅らせてユーザーの行動を測定するという調査を実施した。設定された遅延時間は100ミリ秒から400ミリ秒程度ときわめて短かったため、まったく影響が出なくても不思議ではないと思われたが、実際にはユーザーが検索に消極的になるという結果が得られた。検索回数の減少幅は大きくはなかったが、無視できる数字ではなかった。さらには、100ミリ秒(1秒の10分の1)遅れただけでも、測定可能な影響が出た。その上、調査後に遅延時間が取り除かれた後でも、対象ユーザーの検索頻度が以前の状態に回復するまでにはかなりの時間を要した
・レスポンスの早さがどれだけ重要かがわかります。昨今ではこの傾向がより強くなっているといえるでしょう。言わずもがなかもしれませんが、コンテンツの倍速視聴やショート動画の隆盛からわかるように、時間がかかるものへの抵抗感は強くなっているといえるからです。早いことは正義だと言っても過言ではないと思います。
翻って、クライアントワークでも同じことがいえます。素早いレスポンスが、満足感や信頼を育むはずです。
改めてまとめてみて、Googleが何を考えているかをある程度理解していたからこそ、広告やSEOに関する様々なインプットの質が高まったのだと感じました。
この本を新人の頃に読んでおいて本当に良かったと思います。
もしこの記事をご覧になっているのがWEB業界新人の方であれば、有名ブログやXでの情報収集を一旦ストップしてでも、本書を読むことがおすすめです。