WEBマーケ新人の頃の自分に伝えたい『頼る技術』

頼るスキル 頼られるスキル 受援力を発揮する「考え方」と「伝え方」 (角川新書)

先日、『頼るスキル 頼られるスキル-吉田 穂波著』を読みました。
その内容がWEBマーケティング新人だった頃の自分に伝えたいことのオンパレードでしたので、その中でも特に伝えたいことなどをまとめていきます。

頼ることに対する問題意識

新人の頃の私は、わからないことを聞いたり、できないことを誰かにお願いしたりすることがあまりできていませんでした。
なぜなら、人を頼ることは「責任の放棄」と考えてしまっていたからです。
自分の努力不足を、人に頼ることで補おうとするのは、新人としていかがなものかと考えていました。
具体的にいうと、ググれば大抵のことには答えがありますし、新人の頃の強みは「時間がある」なので、時間をかけて頑張ってタスクを遂行しなければならないと思っていたんですね。
その結果、先輩や上司を困らせてしまったり、単なるロングワークになっていた時期があったりと多くの人に迷惑をかけたのを覚えています。

このように新人の頃は、人に上手く頼る技術がない点に問題意識を持っていました。
本書を読んで、その頃の私に伝えたいことが大きく2つあります。

新人の頃の自分に伝えたいこと

①「頼る」は強い人がすることだと認識する

一番伝えたいことはこれです。

本書では、

助けられる人は弱い人ではなく、人に頼ることができる強い人で、周囲の人の強みや良さを引き出す重要な存在とも言えるのです。

このように「頼ること」への私が持っていた認識と逆のことが冒頭で述べられています。
これはどういうことかというと、

支援する人=能力がある人
支援される人=能力がない人助けてあげなければいけない人

このように認識しているために、

いざ自分が困った時に、助けられる側、つまり逆の立場になることができず、助けを求めることに抵抗を感じてしまうのです。

この主張は自分の経験と照らし合わせてもその通りだと思います。
前述したように、「自分の努力不足を、頼ることで補おうとする弱い人間」と思われたくなくて頼ることができない機会が多かったです。
しかし、

私たちのDNAに埋め込まれている”利己的な遺伝子”は、利他的行為をするようプログラミングされています。(中略)種が生き延びられるよう、他者の役に立ちたいという気持ちを誰もが持っているのです。

つまり、人は本能的に頼られたい生き物ということです。
そのため、頼ることができる人は「周囲の人を本能的に満足させたり、強みや良さを引き出したりする重要な存在」と考えることができます。さらに、重要な存在であるために「強い人」と言うこともできそうです。
もちろん、頼ることで良さが引き出されない相手もいるでしょう。
しかし、『頼ることは、弱いことと同義ではない』と考えるだけで、人に頼りやすくなるのは間違いないと思います。

『「頼る」ことは弱い人がすること』という認識を『「頼る」ことは強い人がすること』という認識に変えることが、頼る技術をつけていくうえでの第一歩のようです。

②上手に頼るための作法としてKSK+Hを意識する

頼ることへの意識を変えても、相手に対して何も配慮せずに頼るのは良くありません。
お互いに気持ちよく頼り頼られるために、頼る側の態度や作法がとても重要です。

本書では、頼る時の作法として、K(敬意)S(承認)K(感謝)が大切だと述べています。

敬意

何かを頼むときは尊敬の念、敬意を示してからです。(中略)「あなただから相談したい」と相手を個人として尊敬していること、頼る理由を示します。
その一番簡単な方法は、相手の名前を読んで「今、いいですか」と相手の都合も配慮することです。

例)「〇〇さん(not肩書き)、今ちょっと話してもいいですか?」

承認

相談する前に「聞いてくれて嬉しい」「助かります」(中略)と相手の存在を承認します。

例)「助かります。相談なんですけど〜」

感謝

相談を終えたら、(中略)悩み事が解決するかしないかではなく、自分の相談を聞いてもらえた、そのことだけでもありがたいという感謝の気持ちを示すのです。
具体的に、その場ですぐに、何に対して感謝してるのかを伝えるのが効果的です。

例)「今後の方向性が見えてスッキリしました。ありがとうございます!」

書き出してみると、当たり前のことのように感じられますが、実際に自分ができているかを振り返ると、毎回できているわけではないことに気づきます。

そのうえで、上記KSKに加えて、H(報告)もすると良いと思いました。
つまり、アドバイスをもらって、実施した結果を報告するとより望ましいということです。
なぜなら、報告をすることで、頼られた側は「アドバイスしてよかった」と思えるためです。
これは後輩を持つようになってわかったことですが、結果の良し悪しは関係なく、アドバイスに対して進捗状況を報告してもらえるのは嬉しいもの。
この頼られた側の心理を逆手にとって、結果を報告をすると、お互いに気持ちよく頼り頼られ続けることができると思います。

スムーズに頼るために「タイミング」と「フォーマット」を決めておく

上記のような作法に加えて、スムーズに頼ることができるように↓このようなイメージで「SOSを出すタイミング」と「頼る時のフォーマット」を用意しておくと良いと思いました。

  • SOSを出すタイミング
    • 15分間進捗がなかったら
  • 頼る時の文章のフォーマット
    • 実現したいことは何か
    • 何をして欲しいか
    • 何ができなくて困っているか
    • どこまで自分で調べたか、取り組んだか
    • 考えられうるつまづいた理由

これ以上自分の頭だけでは答えが出せないタイミングでSOSを出すことで、無駄に悩む時間を減らせます。
その基準として、ざっくり「15分進捗がなかったら」としておくといいでしょう。
経験的に、15分間何も進まなければ、それ以上は自分の力だけでは前に進めることはできません。
手が止まって、15分経過した時点で、頼るための文章を書き始めると良いと思います。

そして、いざ頼ってみた時に、意図がちゃんと伝わるようにすることで、抱えている課題を素早く解消することが可能です。
そのために、伝える項目を事前に決めておくと良いと思います。
上記5項目を網羅できれば、漏れなくダブりなく冗長になることなく伝えることができると思います。

参考サイト:新卒1年目に使ったエンジニア質問テンプレート

頼ることに抵抗がないチームを作るために、率先して頼るのが先輩の役割

最後に、チームを持つようになった今、後輩達が頼ることへの苦手意識を持たないようにすることが大切だと思っています。
そのための具体策として、本書では下記の提案がなされています。

「頼る」とはお互いの成長を促すことだ、という姿勢を上司がはっきり打ち出すことで、お互いに相談する機会が増え、チームの強化につながるのです。

先輩は何に関してもお手本であることが求められるのだ、と襟を正しました。

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