マーケティングで成果を出すにはエンパシーが大事だと思った

エンパシーという言葉をご存知でしょうか。私はこの言葉を「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」(ブレイディみかこ著)を読んで知りました。

エンパシーは、マーケティング支援業を行う人にとって非常に重要な能力です。もちろん、どんな仕事や境遇の人にも大切なものですが、顧客理解が成果に直結するマーケティング支援業においては、特に鍵を握ると考えています。

今回は、エンパシーとは何か、そしてなぜマーケティングで重要なのかをご紹介します。

エンパシーとは「能力」である

ブレイディ氏は、エンパシーを以下のように説明しています。

湧き上がる感情に判断力を曇らせることなく、意見や関心の合わない他者であっても、その人の感情や経験などを理解しようと、自発的に習得する「能力」のこと

つまり、分かり合えない相手だとしても理解しようとする能力。それがエンパシーです。

重要なのは、エンパシーが「能力」である点です。生まれつき備わっているものではなく、意識的に鍛え、習得できるものなのです。

エンパシーとシンパシーの違い

エンパシーに似た言葉に「シンパシー」があります。ブレイディ氏は、シンパシーを以下のように説明しています。

自分に近い感覚を持つ相手に対し、感情とともに内側から自然に湧いてくる同情のこと

つまり、シンパシーは感情の動き、エンパシーは他者を理解しようとする能力、という違いがあります。

よく「シンパシーを感じる」と言いますが、これは自分に似た価値観を持った相手がいる時に使いますね。この時、「シンパシーを感じてみよう」とは考えないはずです。シンパシーは受動的なもので、エンパシーは能動的なものと言えるでしょう。

エンパシーはマーケティングでとても重要な能力

マーケティングで成果を出すためには、顧客理解がとても重要です。顧客がどんな課題を抱えているのか、本当に悩んでいることは何かを理解できるかどうかで、成果が大きく変わってきます。

しかし、常に顧客理解がスムーズに進むわけではありません。例えば、3C分析では、自社理解、顧客・市場理解、競合理解を進める中で、場合によっては関心のない領域を理解することが必要になります。また、ペルソナやカスタマージャーニーマップを作成する際にも、自分が理解できないような顧客の立場や思考を想像し、理解しようとする姿勢が求められます。

特に、自社の商品・サービスではなく、顧客企業のマーケティングを支援している場合、この困難さはより顕著になると思います。顧客企業の業界知識や商習慣、常識が自分の生活とは大きく異なることも珍しくないからです。

そんな時に鍵を握るのがエンパシーだと思います。意見や関心が合わない相手に対しても理解しようとする能力があれば、諦めることなく理解できるところまで何とか辿り着けるはずです。

エンパシーを鍛えるために

エンパシーは能力である以上、鍛えることができると思います。顧客と向き合う時以外の場面から、「この人は何を本当に求めているのだろう」「なぜこの判断をしたのだろう」と問い続けることが、エンパシーを磨く第一歩ではないかと考えています。

マーケティング支援において、エンパシーを高めて、顧客理解を深めることで、より本質的な課題解決につながる提案ができるようになるはずです。

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