
汝、星のごとくを読んだのでその感想をまとめます。 ストーリ自体はそこまで深い感動はありませんでした。しかし、本書を貫くテーマと向き合う中で、思考が深まり視野が広がりました。話題になるのも納得です。
「自分の生き方ってこれでいいんだっけ?」と立ち止まった時に、背中を押してくれるのではなく、背中を叩いてくれる一冊です。
この小説には、ゲイの人やちょっと変わった関係性(と言っている時点で自分は寛容ではないのかもしれない)の人たちが出てきます。と同時に、そういった人たちに対して後ろ指を刺す人たちも出てきます。
じゃあどっちが正しいのかといったら、それは誰にもわかりません。仮にどちらかが正しいとしても、その正しさを保証できる人はいないでしょう。
ある登場人物がこう言います。
「誰がなんと言おうと、僕たちは自らを生きる権利があるんです、僕の言うことはおかしいですか。身勝手ですが。でもそれは誰と比べておかしいんででしょう。その誰かが正しいという証明は誰がしてくれるんでしょう。」
SNSにより、他人からの声が届きやすくなった時代に言って欲しかった言葉です。そう、誰になんと言われようと自分で決めて良い権利が我々にはあるんですよね。
誰しも「これが良い」「こうしたい」と思うに至った背景があります。その背景に思いを巡らせ、他人が良いと思ったものに寛容になること(批判的にならないということではない)。そして、自分が良いと思ったこと自体を信じること。これは、人間同士が自らを生きるために必要な態度だと思います。
「大事にしたいものを守れる」「自由でいる」これらは、生きていく中でぜひ獲得したい権利です。
この権利を獲得するために、最低条件としてお金が必要になるでしょう。
お金がないと、いざって時に大事にしたいもの守れません。例えば、大事な人がお金を払えば治せる病気になった時に、すぐにそのお金が用意できなければ、その人が苦しんでしまいます。
また、お金がないと、他人への依存度が高い人生になってしまいます。お金を得ることに関して他人への依存度が高いほど、自分の人生の脆弱性が上がるでしょう。
ある登場人物がこう言います。
「もちろんお金で買えないものはある。でもお金がないから自由でいられることもある。例えば誰かに依存しなくいい。いやいや誰かに従わなくていい。それはすごく大事なことだと思う。」
ブランド物をバンバン買ったり、大豪邸を建てたりできるようになる必要はないと思います。しかし、もしもの時にパッと大金を出しても生活が揺らがないくらいには、お金は必要だと思います。
お金以外にも覚悟も必要です。
フロムの「自由からの逃走」曰く、自由でいることには不安が伴います。自由になったとしても、自分は自由でいいのかという疑念を持ったり、誰かからの批判(自分に対するものでないにしても)が耳に入ったりすることがあるでしょう。私は昨年の有休消化期間中に、不安を感じることがありました。 自由であり続けるためには、それらと向き合う覚悟が必要です。その覚悟がないうちは、自由にはなれないのだと本書を読んで思いました。